痛みと慣れ
「痛み」というのは体が発している「警告」と言えるでしょう。また「慣れ」というのは人間が様々な環境に適応していく上で、とても大切な能力となります。
先の丸い棒の様なものを用意してみて下さい。
- 棒を皮フ面にあてます。この時、何かが当たったという感覚があります。腰痛であれば「あれ?」という感じでしょう。
- もう少し深く棒を押さえ込んでみます。すると明らかに何かが当たっているという感覚になります。 腰痛でしたら、腰部に重たい感じがしている状態です。ところが、しばらくそのままにしていると、その棒で押さえられている事を忘れてしまいます。「慣れ」が生じた状態です。 腰部の場合なら数日で違和感を感じなくなっているでしょう。
女性では、きつめの下着を着けた時、男性では腕時計をはめた時をイメージしてみて下さい。その時はその物を意識しますが、しばらくすれば下着のきつさ、圧迫感、腕時計の重さ等を感じなくなっていると思います。
普通、この状態になりますと本人は「治った」と思います。 - さらに深く押さえ込み、痛くなったらほんの少し戻します。痛みのないぎりぎりの状態を作ってみて下さい。1mmも上下しない中に「痛い状態」と「痛みを感じない状態」を作り出せると思います。こんな状態でも長く続けば「慣れ」を生じ、腰部の違和感を感じなくなってしまいます。
- 最終的に「痛めた状態」です。もう「3」の状態まで来ていたのなら、ほんの些細な動きでこの状態になってしまいます。
「3」の状態で棒を当てている場所(腕なら腕)を少し動かしてみて下さい。押さえ方は同じでも「痛い」と感じると思います。「2」状態で同じように動かしても痛くないはずです。
「3」の状態にいれば何をしても痛めことになるのです。腰であれば何気ない動作でギックリ腰をおこす状態です。