胸椎椎間関節症
胸椎椎間関節症とは
胸椎の椎間関節に過度の力が加わった結果、椎間関節に炎症が生じ、背中に痛みやコリ感、息苦しさを生じる病態です。
腰椎に起これば、腰椎椎間関節性腰痛症となります。
胸椎椎間関節症の原因
もともとストレートバックの方は、本来後弯(後ろ向きのカーブ)しているはずの胸椎が前弯しているため、常に椎間関節に負担がかかっています。この状態が原因で、体をひねったときや、うつ伏せで上半身を起こした姿勢を続けたとき、または上を見る動作を続けたときに、関節に過度な負荷がかかり、微小な損傷を引き起こします。その後、炎症反応が起こり、椎間関節の滑膜層や関節包に豊富に存在する知覚神経が刺激され、痛みが生じます。
さらに、スパズムによって周辺の筋肉(多裂筋・長短回旋筋・半棘筋)にも痛みが発生します。
胸椎椎間関節症の症状
背中のコリ、肩甲骨辺りのコリ、背骨の痛み、上を向くと背中が痛い(下を向くと痛い時もあります。)、身体を反らせると背中が痛い、動悸、息苦しい、深呼吸出来ない、咳、くしゃみでの背中の痛み、肋間神経痛、前胸部の痛みなど。
息苦しさがひどい方は、非常に苦しむことがあります。中には救急車を呼ぶほどの息苦しさを感じる場合もありますが、病院で呼吸器や心臓の検査を受けても異常が見つからないことが多く、複数の病院を受診するなど、大変なご苦労をされることもあります。
また、神経の出口が狭くなることにより、肋間神経痛や胸部の痛みなどの神経症状を伴なうこともあります。
胸椎椎間関節症の鍼(針)治療・整体治療
胸椎椎間関節症の治療は、鍼によって筋肉を緩め、整体の手技によって胸椎前弯部を後ろに出すことで症状を改善することができます。
治療効果は非常に高く、多くの方が1回で改善します。逆に1回で改善しなければ、胸椎椎間関節症による症状ではないと言えるくらいに効果があります。
精神疾患で息苦しさを訴える場合がありますが、これも胸椎椎間関節症の治療によって軽減されることが多々あります。
治療後はストレートバックを改善するストレッチをして頂きます。
肋間神経痛
肋間神経痛は肋骨に沿って走る肋間神経が痛む疾患です。背中から胸の前にかけて帯状に痛むのが特徴です。原因がハッキリしている場合には、症候性肋間神経痛、原因不明の場合には特発性肋間神経痛といいます。
症候性肋間神経痛には帯状疱疹後の後遺症、圧迫骨折等があります。
特発性肋間神経痛については、私の経験上、ほとんどの場合ストレートバックが絡んでおり、左側の症状を訴える患者さんが多い印象です。左側が多いのは、多くの方が右利きであることが原因だと思います。
特発性肋間神経痛の治療は、胸椎椎間関節症とほぼ同じになりますが、3回程度の治療が必要になると思われます。他の神経痛と比べて治癒期間が非常に早いため、治療回数は比較的少なくて済みます。
一方、帯状疱疹後の後遺症である帯状疱疹後神経痛による肋間神経痛は、完治する場合と難治性の場合があり、症状の治癒には時間がかかることがあります。したがって、簡単に治るとは限りません。