背骨をボキッと鳴らすと?
背骨を「ボキボキッ」とするとどうなるかを首の骨で説明していきます。
そもそも関節が「ボキボキッ」と鳴るとは?はこちらをご覧下さい。
首は7個の骨から出来ていますが、これを仮に10個の骨(10個の関節)で出来ているとすると、首を曲げる動作の場合には、この10個の骨が「1」づつの動きをして、全体として首を曲げるという動作をしていることになります(厳密には違いますが、たとえとして)。
実際の首の骨は前へのわん曲を持っていますので、わん曲の頂点である背骨(真ん中あたりの背骨)がよく動くことになります。
わん曲した針金を動かす時、曲がっている所しか動かないのと同じです。
ですからご自分で首を「ボキボキッ」とさせる場合には、この真ん中の辺りの関節を鳴らしている事になります。
関節を頻繁に「ボキボキッ」とすると、徐々に関節がゆるくなってきます。
すると、この真ん中辺りの関節は、普段でもよく動く関節なのに、よりいっそうよく動く(ゆるい)関節になってしまいます。
これを先ほどの10個の骨の考え方に当てはめると、真ん中辺りの関節3つが本来なら「3」の動きをすれば良いのに、「5」~「7」という動きをすようになるのです。この真ん中辺りの関節には、動き過ぎる事による弊害(関節の変形、背骨同士の隙間が狭くなる)が出てきます。また、この3つの関節が「6」の動きをしたとすると、他の7個の関節は7個で「4」の動きをすれば良い事になってしまいますので、徐々に首の上の方と下の方の関節は硬くなってしまうのです。
そもそも背骨を「ボキボキッ」っとするとなぜ楽になるのでしょうか? 背骨の中には脳から出てきた神経の束が入っていまして、その束から分かれた神経が背骨と背骨の間の「神経の出口」から出てきます。
この神経の出口から出てきた神経が「筋肉・血管・内臓等」に分布するのですが、「ボキボキッ」っとされた時、背骨と背骨の間が広がる(正常可動域を超える)ことによって神経が活性化すると言われています。
この神経の活性化がコリを生じていた筋肉を緩め、血液循環が改善されることによって、楽になったり、スッキリした感じがするのです。
首を「ボキボキッ」とする人たちは、首の真ん中辺りの関節が一時的に大きく動かされるので、その辺りの背骨の間から出てくる神経の支配領域の環境が改善される事が考えられます。
ところが、「ボキボキッ」とすればするだけ他の関節が硬く、動きにくくなるため、その硬くなった関節から出てくる神経の働きが悪くなってしまいます。
首の場合、首の上の方と下の方から出る神経の働きが悪くなるのです。
ですから首を「ボキボキッ」する方は後頚部、後頭部、背部、腕の症状が悪くなる傾向があります。
また交通事故で追突された時に関節が緩い分だけ、むち打ち症状がひどくなることがあります。
こういった方々の治療は、動きすぎている関節(ボキボキッしている関節)をこれ以上動き過ぎないようにしながら、動きの悪い関節の動きをつける事になります。整体治療でボキボキッとするのは、この動きの悪い関節を鳴らしているのです。そのためには、どの関節の動きが悪くなっているかを検査し、その関節だけ動かすことが重要です。ただやみくもに鳴らせばよいというものではありません。
ボキッと背骨を鳴らすことで背骨の歪みを修正しているとおっしゃる治療院がありますが、そんなことは全くありません。ボキッという音はただ単に鳴っているだけです。鳴らすことに意味があるのではなく、動きの悪い関節に動きをつけることが目的です。
ただ、ボキッと鳴らすことによって一度は正常可動域を超えますので、鳴らさないで関節に動きをつけていくよりは早いのは事実です。
これは、首だけでなく、背中や腰の背骨でも同じです。背中の背骨(胸椎)を押してもらい鳴らす方がありますが、これもストレートバックの方にされると増々症状が悪化します。
ご自分で出来ることは「ボキボキッ」をしないようにすることです。 3ヶ月程鳴らさないように我慢すれば、鳴らなくなってきます。