CAMって何?
CAMとはcomplementary and alternative medicineの略で、「補完、代替医学」という意味です。 日本代替医療学会では「現代西洋医学領域において、科学的未検証および臨床未応用の医学、医療体系の総称」というふうに定義づけています。
簡単にいうと日本にある普通の病院ではしていない医学、医療の事です。”日本にある”と書いたのは、なんとWHO(世界保健機構)の調べでは、世界中でいわゆる西洋医学の治療を受けている人々の人口比率をみると20~35%にしか満たないそうです。
残りの多くの人々はこの「代替医療」を受けているわけです。 まだまだ日本ではなじみの少ない言葉ですが、アメリカ等ではかなり急速に脚光をあびている医学分野なのです。
代替医療にはどんなものが含まれるのでしょうか?
世界中の伝統医学(中医学、アーユルヴェーダ、ユニナ医学、シッダ医学等)、健康食品、薬効食品、ハーブ療法、アロマテラピー、食事療法、温泉療法等々すべてが代替医療に含まれます。
アメリカでの代替医療への取り組み方は?
1992年に米国議会は国立衛生研究所(NIH)内に代替医療事務(OAM)を設立し、1992年、1993年に200万ドルの資金を割り当てた。
OAMの目的は
- 代替薬物医学療法の評価を促進する。
- 代替療法の効果を調査し、評価する。
- 代替医療に関して一般市民と情報交換をする情報集散センターを開設する。
- 4.代替医療の治療におけるリサーチトレーニングを支援する。
その後、OAMの予算は着実に増え1999年には5000万ドルの予算が割り当てられています。
この1999年にNIHで大幅な予算増となったのはこのOAMと前立腺がんに対するものだけであり、米国における代替医療への取り組み方の強さがわかると思います。また、医学校の学生強い要望により、現在125校のうち75校(60%)で代替医療に関する講議も始まっています。
どんな人がどれ位利用しているのか? 1993年、ハーバード大学のEisenberg博士らは、アメリカ国民がどれくらい代替医療を用いているかについての調査報告を発表した。この調査はハーブ療法、ビタミン大量療、鍼、マッサージ、カイロプラクティックなど16種類の代替療法に関する医療行為のみを対象に調査した。 調査によると、1990年の段階で16種類の代替療法のうち少なくとも1つを利用していた者は、米国成人のうち33.8%(6000万人)にのぼり、1997年の調査では利用率が42.1%(8300万人)と有意に上昇していた。 さらに1997年の時点でアメリカ人は、代替療法に関わる総自己負担費として年間270~344億ドル(約3~4兆円)を費やしているというデータが示された。これは1997年の米国で支払われた通常の医療費の総自己負担費用299億ドルに匹敵するか上回る事も判明した。
代替医療利用者は教育レベルの高い人に多い!
これまで代替医療を利用しているのは「教養のない人たち」と考えられていたのだが、実際には全く逆であることが判明した。大学の教育を受けた者の利用率(50.6%)は、大学教育を受けていない者(36.4%)よりも高かった。また、年収50,000ドル以上の者の利用率は、それより収入の少ない者より高かった。すなわち保険にも入っているし、高収入で、市民としてアメリカを支えている中心層の人たちが、保険の効かない代替医療に関心をもってお金を払っているということがわかったのである。
アメリカでは代替医療に保険が適用され始めた!
アメリカでは日本の様な公的な保険制度は特定の人にしか与えられないので、中間階級以上は私的保険に入っています。この健康保険組合が代替医療を給付対象にし始めています。給付対象の中心となっているのは「鍼灸治療」と「カイロプラクティック」です。
日本におけるCAMは?
日本では昔から代替医療がとてもよく行われている国だということは言えると思います。しかしアメリカのような大規模な研究、調査は行われていませんし、代替医療に取り組む政府機関や代替医学講座を持つ大学もありません。こういう点では欧米に大きく遅れていると言わざるをえません。