鬱病(うつ病)の鍼(はり)灸・整体治療

 「鬱病(うつ病)は、鍼(はり)灸や整体治療で治るのでしょうか?」というお問い合わせをよくいただきます。

 腰痛などの整形外科的な症状であれば、「大体何日くらいで良くなると思います」とお答えできますが、精神疾患については「分かりません」としか言いようがありません。

 そのようなご相談には、「治るかどうかは分かりませんが、現在苦しまれている症状の緩和は可能です。まずは1年を目安にお考えください」とお伝えしています。

 鬱病の患者さんは、身体症状として「首・肩のこり、睡眠障害、疲労感、倦怠感、頭痛、頭重感」などを訴えることが多いです。これらの症状には鍼灸治療や整体治療がとても有効で、治療後には症状が緩和され、気分が楽になり、頭がすっきりして眠りやすくなるといわれています。

 東洋医学には「陰主陽従」という言葉があります。身体を「陰」、心を「陽」とすると、「身体への治療が心に響く」ということです。体の調子が整うことで、心も少し軽くなるのです。

 このような良い循環をつくるきっかけとして、鍼灸や整体治療を受けてみることをおすすめします。

 ここ20年ほどで、鬱病で来院される方は増えており、多くの患者さんを治療する中でさまざまな経験を積んできました。鬱病は脳神経の可塑性変化が原因といわれており、変化を起こした神経が正常に戻るにはやはり時間がかかります。

 あせらず、ゆっくりと取り組んでいきましょう。

 海外での研究ですが、

 仮面鬱病(隠れ鬱)

 疲労感(倦怠感)、睡眠障害、食欲減退、頭痛、肩こり、背部痛、口渇、腹部不快感、便秘、下痢、心悸亢進、胸部圧迫感、呼吸困難、頻尿、月経不順、めまいなどの主訴で来院されますが、本人の訴えと身体の状態が合わないことが多く、治療効果の出方が普通の方とは違います。

 注意深く問診していくと、仮面うつ病であることが多々あります。

 こういう場合には、仮面うつ病の可能性を本人にお話して、一度精神科を受診して貰います。先ずは自分が鬱病だという事を認めないと、ドクターショッピングも治りませんし、鍼灸・整体治療も進めることが出来ません。