梨状筋症候群(深殿部症候群) 坐骨神経痛③

梨状筋症候群とは

 梨状筋症候群とは、梨状筋の過緊張によって坐骨神経をはじめとする末梢神経が圧迫・絞扼され、しびれや疼痛が生じる病態です。深殿部症候群の原因の一つとされています。

 梨状筋は股関節の深層外旋六筋(梨状筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋)の一つです。

梨状筋症候群の症状

 大坐骨孔は梨状筋によって上下に分けられ、それぞれ梨状筋上孔、梨状筋下孔と呼ばれます。梨状筋上孔を通過する神経は上殿神経であり、梨状筋下孔を通過する神経は坐骨神経、後大腿皮神経、陰部神経、下殿神経です。

そのため、障害される神経によって症状は異なります。

  • 上殿神経が障害されると、臀部上部に痛みが生じます。
  • 坐骨神経が障害されると、臀部から大腿後面、ふくらはぎ、足先にかけてしびれや痛みがみられます。
  • 陰部神経が障害されると、会陰部にしびれや痛みを訴えることがあります。

 このように梨状筋症候群の症状は広範囲に及ぶため、「症候群」という名称が用いられています。

 また、上殿神経や下殿神経は運動枝であるため、障害が及ぶと支配筋の筋力低下や萎縮がみられることもあります。

梨状筋症候群の鍼・整体治療

 鍼治療では、梨状筋の走行に沿って刺鍼を行います。原因が明確であり、梨状筋に直接刺入できるため、とてもよく効きます。

 整体治療では腰椎の調整を行い、日常生活においては股関節の外旋筋に負担がかからないよう注意が必要です。

 概ね数回の治療で改善がみられますが、梨状筋に炎症がある場合には、回復までに1週間ほど余分に時間を要することがあります。

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