腰痛〜筋筋膜性腰痛 腸腰筋
腸腰筋とは
腸腰筋は深層筋(インナーマッスル)の一つで、大腰筋と腸骨筋の2つの筋肉を合わせた総称です。
大腰筋は胸椎の12番から腰椎の4番の肋骨突起から大腿骨の小転子に付着。
腸骨筋は腸骨の内面上部から小転子に付着。
支配神経は共に腰神経叢筋枝。

腸腰筋腰痛の特徴は
- 中腰から身体を起こす時の痛み
- 座位から立ち上がる時に腰が伸びない
- 仰臥位での腰痛
- 座位から立位への動作での痛み
- 鼠蹊部の痛み(股関節の痛みとして訴える場合もあります。)
- 歩行時の痛み(鼠蹊部)
- 慢性腰痛(腰の深い部分での鈍痛)
- 起床時の腰痛、休日にゆっくり寝ていようと思っても腰痛のため寝ていられない
腸腰筋は下の図のようにとても深い処にある筋肉ですので、どこが痛いかを患者さんに聞いても分からないと言われことが多くあります。大まかには腰痛プラス鼠蹊部の痛みがあればほぼ腸腰筋が関係しています。

急性の筋筋膜性腰痛(いわゆるギックリ腰)において、腸腰筋が原因であると確信できる患者さんは、実際のところあまりいません。私の見立てが至らないだけかもしれませんが……全体の1割弱くらいだと思っています。
他の筋肉を急性の筋筋膜性腰痛で損傷し、その影響で腸腰筋に過緊張が生じた結果、腸腰筋への治療が不可欠となるケースは確かにあります。また、慢性の腰痛症では腸腰筋の関与は非常に重要です。しかし、腸腰筋は深層筋であるため、そもそも損傷すること自体が稀だと考えています。したがって、腸腰筋の痛みの多くは、過緊張や血流の滞り(循環不良)によるものと捉えています。
腸腰筋への鍼・整体治療
大腰筋への施術は、うつ伏せや横向きの姿勢で行います。大腰筋は身体の深いところにある筋肉のため、標準的な体型の方でも、鍼は比較的深い位置まで届かせる必要があります。そのため、通常より少し長めの鍼を使用します。
刺鍼中には、「ズーン」とした重だるいような感覚を感じることがありますが、これは筋肉に適切に刺激が入っているサインで、強い痛みではありません。鍼治療では、こうした直接的な刺激によって、緊張した筋肉を効率よく緩めることができます。
なお、このような深部の筋肉に対応できる鍼や技術を備えている治療院は多くはなく、腸腰筋への鍼治療を行っているところは限られています。

腸骨筋については、仰臥位で上前腸骨棘の内側からアプローチしていきます。
なお、大腰筋と腸骨筋はいずれも鼠径部を通過するため、この部位が治療のポイントとなります。

整体治療は支配神経が出る腰椎の調整をしていきます。
基本的には、治療直後に痛みの改善を実感できることが多いですが、慢性の腰痛症の場合、腸腰筋だけに原因があるわけではなく、他の筋肉も硬くなっていることがほとんどです。また、筋肉だけの問題にとどまらないケースも多いため、治療期間については一概には言えません。
参考文献


