変形性股関節症

 変形性股関節症とは、臼蓋形成不全(寛骨臼形成不全)、先天性股関節脱臼の他、遺伝、加齢、体重、性別など複数の要因で軟骨の欠損により生じた関節症状や兆候のある疾患群と定義されます。

 変形性股関節症は前股関節症〜初期股関節症〜進行股関節症〜末期股関節症という具合に進行し、2年で軟骨がすり減ってしまうとも言われます。

 ただ、変形性股関節症に限ったことではありませんが、レントゲン検査での所見と本人の痛みに相関関係はありません。

 初期股関節症の方は1〜2の痛みで、末期股関節症の方は10の痛みになる訳ではなく、末期股関節症(このステージでは可動域の制限はあります)と診断されていても、痛みを感じることが無い方もみえます。逆に初期股関節症でも強い痛みを訴える方もみえます。

 現在、変形性股関節症治療で当院に通われている患者さんの最長は20年になり、初診時から関節可動域もほとんど変化なく、20分程歩いて来院されてます。

 ですから、変形性股関節症という名前にとらわれず、今ある「痛み」をどうするか?を考えていくと良いと思います。その方法の一つに鍼・整体治療があります。

 変形性股関節症の患者さんが訴えている「痛み」の場所は鼠径部、腰部、臀部、大腿前面、大腿側面、大腿後面、下腿前面などがあり、その痛みに股関節周りにある筋肉のトリガーポイントが関係していることが多々あります。 

 小殿筋のトリガーポイントによるMPS(筋膜性疼痛症候群)〜臀部、大腿後側、大腿側面、下腿側面

 簡単に説明すると…星印のトリガーポイントに問題があると、黄色の部分に痛み等の症状が出ます…ということになります。

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 中殿筋のトリガーポイントによるMPS〜臀部、大腿後側

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 長内転筋のトリガーポイントによるMPS〜大腿前面、下腿前面

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 このトリガーポイントの治療には、鍼治療がとても良く効きます。これらのトリガーポイントを丁寧に探しながら治療し、消していくと痛みはかなり改善されます。 また股関節に関係する腰神経への刺鍼、腹部の緊張を取る刺鍼を合わせていきます。

 整体治療では関係する腰椎の調整と、股関節の関節モビライゼーションを合わせ、筋肉トレーニングも段階的に指示していきます。

 治療効果は週に1〜2回の鍼・整体治療で、治療開始から3〜6ヶ月の期間に8割ほど改善され、それ以後は大きな変化は見られない…というイメージです。

 これは3〜6ヶ月で軟部組織の問題はほぼ改善され、鍼、整体治療の効果が無い部分による痛みが残っていると考えられます。この経過は変形性膝関節症もよく似ています。

 そこからは治療期間をあけながら、現状を維持していけるように治療を続けていきます。痛くなってから治療するのではなく、定期的に治療して痛みを再発させないようにすることが理想となります。

QA

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