顔面神経麻痺の鍼灸・整体治療

 顔面神経麻痺は中枢性と末梢性に分けられ、末梢性のほとんどがベル麻痺とラムゼイハント症候群になります。

 ベル麻痺は一側性顔面神経麻痺の60〜75%を占め、性差はなく、40歳台をピークに発症することが多いです。

 原因は単純性ヘルペスウィルスⅠ型の再活性化により、神経炎や神経浮腫を起こし、神経の通り道で神経が圧迫されることによって二次的に神経損傷を生じた結果、顔面神経が麻痺します。

 ラムゼイハント症候群はいわゆる帯状疱疹のウィルスによって発症します。

 末梢性の顔面神経麻痺では、半側顔面全体に麻痺が見られ、耳や顔面の痛みやシビレを伴ったり、麻痺側の聴覚過敏(音が大きく聞こえる)、涙腺、唾液腺の分泌低下、または味覚障害を引き起こすことがあります。

 当院では、顔面神経麻痺の疑いがある場合は、発症直後には病院への受診をお勧めしています。病院での標準的な治療は、ステロイド薬と抗ウイルス薬の使用です。

 標準治療を受けて頂いた方が安心だと思いますので、受診を勧めております。

 鍼灸治療は、受診と併せて受けても問題ありません。

 ベル麻痺は無治療でも60〜70%は完治するとされていますので、治療を受けたか否かにかかわらず、多くの人が回復することが予想されます。ラムゼイハント症候群の場合には治癒率が低く、後遺症を残す確率が高くなります。

 ベル麻痺、ラムゼイハント症候群は早期の治療が回復を促すことが知られているため、症状が出た場合は迅速に治療を受けることが望ましいです。

 発症時の症状が重度であるほど、後遺症が残りやすくなります。しかし、概ね3〜4週間後にはこのまま回復するタイプか、後遺症が残る可能性が高いタイプかが判断されます。後遺症が残る可能性が高い場合には、積極的に治療を行うことが望ましいと思われます。

 ただ当院のような鍼灸院には、発症後数ヶ月〜1年と経過し、色々な症状が残っている状態で来院される場合が多くあります。

 顔面神経麻痺の後遺症の中でも重度では

 ・病的共同運動〜顔面神経麻痺が回復していく過程で神経がもとの部位とは別の部位に向かって再生してしまい、本人の意思とは別の部位が動いてしまう状態。例えばもとは口を閉じるための神経が眼の方に再生してしまい、口を閉じようとすると目が閉じてしまうことが起こります。

 ・拘縮

 ・ワニの涙〜食事の時に涙が出てしまいます。

 ・痙攣

 軽度の場合には、顔がこわばる、顔を動かすと突っ張り感や痛みを感じる、目の乾き、かゆみを感じる、食事が食べにくい、顔の疲れを感じるといった症状があります。

 これらの患者さんが鍼灸治療を開始することで、症状の改善が期待できます。しかし、時間が経過するにつれて治療が難しくなるため、できるだけ早期に治療を受けることが重要です。

 当院では、鍼灸・整体治療と併せて、表情筋へのマッサージ、筋肉トレーニング等のセルフケア方法の指導も行っております。