坐骨神経痛③ 梨状筋症候群

 2. 筋肉に原因がある場合(梨状筋症候群)

 梨状筋症候群 会陰部の痺れ(シビレ)

 梨状筋症候群とは、梨状筋の過緊張によって坐骨神経をはじめとする末梢神経が圧迫、絞扼されることによってシビレや疼痛がおこる病態です(最近はこの定義が間違っていると言われていますが、患者さんにはこのように説明しています)。

 梨状筋は股関節の深層外旋六筋(梨状筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋)の中の一つです。

 大坐骨孔をこの梨状筋が上下に分け、それぞれを梨状筋上孔、梨状筋下孔といい、梨状筋上孔から通る神経は上殿神経、梨状筋下孔から通る神経は坐骨神経、後大腿皮神経、陰部神経、下殿神経となります。

 まれにこの陰部神経の問題で、会陰部の痺れ(シビレ)を訴える患者さんがあります。

 後大腿皮神経は下殿皮神経と会陰枝を分け、下殿皮神経は下臀部の皮膚感覚、会陰枝は大腿内側上部の皮膚感覚、本線の後大腿皮神経は大腿の後面、膝窩、下腿上部の皮膚感覚を支配し、陰部神経は会陰部を支配します。

 梨状筋症候群は上記に加え、坐骨神経の支配領域の神経症状が出る可能性があるということになりますので、広範囲に及びます。

 また、上殿神経、下殿神経は運動枝である為、これらに影響が出た場合には、支配筋の筋力低下や萎縮がみられることもあります。

 K.ボンネットテスト等により、梨状筋症候群と診断し、鍼治療は梨状筋の走行に沿って刺鍼、整体治療では腰椎の調整をしていきます。日常生活では、股関節の外旋筋に負担がからないように注意していきます。

 原因がハッキリしていますので、概ね数回の治療で良くなりますが、梨状筋に炎症がある場合には、1週間ほど余分にかかります。